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ベーシック・インカム

最近、『ベーシック・インカム入門』山森亨著(光文社新書)という本を読んだ。嬉しかったのは、著者が1970年生まれだということであった。このような若い世代にも、やつとこのような視点を持った研究者(?)が現われ始めたのかという感慨を持って読んだせいか、内容だけでなく、文体もとても新鮮に感じた。
ベーシック・インカムとはすべての個人に生きていける最低限の所得保障をするという考え方だが、山森氏によるとこれまでも全世界で様々な人がこの考え方を述べているという。ちなみに私の贔屓にする経済学者J・S・ミルも言及しているという。なんということ!こんな大事なことを読み飛ばしていたとは!
さらに、あのキング牧師もこのベーシック・インカムに賛同し、1968年4月ニューヨークまで白人低所得層・エスニックマイノリティー・黒人など10万人規模の人々を結集した「貧者の行進」を行なう予定であったところ、その行進が始まる同じ月に暗殺される。またそのために集った活動家たちも逮捕され、アメリカ政府の非常事態宣言により、デモ行進も中止に追い込まれたという。

まあ、アメリカのことはさておくとして、このところの日本の社会保障政策のおそまつぶりをみると、この考え方が再浮上してきたことも十分に納得できる。

私は小学生高学年のころに「日本国憲法」の25条を読み、なぜかとても安心した記憶がある。

すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

いま考えれば、この条文こそまさに、「ベーシック・インカム」の発想と同義のものである。

今日、技術革新がさらに進み、事務系であっても、技術系であっても、雇用形態のなかでは人手がいらなくなる方向に進んでいる。一方でそのようなことも背景にして企業はコスト削減という名目で人を削る。多くの人々の生活を支えてきた、賃金労働というものもこうして様変わりしはじめた。

虚心坦懐に、人にとって「働く」ということの意味、「生存」するということの意味、それらを改めて考えてみるのに
「ベーシック・インカム」という考え方はよい切り口になる。

  2009年 5月4日

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