アトムの残骸
疲労困憊したときによく思い出すのは、少女のころに読んだ『鉄腕アトム』の漫画の一場面である。
敵と戦い空を飛んでいたアトムが燃料切れを起こし、海に墜落してしまう。そして波打ち際に腕や足がバラバラになったアトムの残骸が流れ着いているという一コマである。
少女のころに読んだ手塚漫画は、『大洪水』など、どれもどこか哀しく、とくにこの場面には胸を締め付けられた記憶がある。昔から動物や人の心を持ったロボットなど人間以外の存在を主人公にした小説などを読むと、人に感情移入するよりも、ずっと深く感情移入する傾向があった。今はまだ深く分析し終えてはいないが、「鉄腕アトム」にもかなり感情移入していた。上記の場面を思い出し、つらく哀しいアトムを思い、そして自分もいつか修理され回復するのだと思う。
ところで、この毎日、夜は、届いたばかりの『困難な自由』エマニュエル・レヴィナス著(法政大学出版局・合田正人監訳・三浦直希訳)を読んでいた。またも宗教関係の、それもユダヤ教の骨子に迫ろうという長大な思考に裏付けられた本であったが、読み進むにつれ、強烈な忌避感が湧いて来た。それが、翻訳された切迫感のある文体のせいなのか、レヴィナス自身の思考の立て方にあるのかは分からない。いずれにしても、ある種の熱狂に対して、私は過去に、このように表現された思想と言葉を知っていた。もちろん私は「律法」を読んではいないし、ラビたちの言葉も知らない。しかし、そのようなことではなく・・・・・・。
2009年4月8日
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